proof of love

【注意書き】

・END1または2を迎えた後の2人
・たぶん半同棲してる
:本編ネタバレあり
・セクシャルな描写あり(行為の描写は回想にちらっと程度)
・ほぼ女攻め描写ばかり(苦手な人は逃げてください)
・設定ふんわり

 

proof of love

 

――やってしまった。

(なんて事をしてしまったんだ……!)

後悔が脳裏を駆け抜ける。
手当をしようにも、相手は熟睡していて、起こしてしまうには忍びない。

(どうしよう。こんな事になるなんて)

彼女の両肩には、俺の十指が食い込んだ痕がくっきり残っていた。

昨夜、そういう雰囲気になって、ベッドにもつれ込みワンラウンドをこなした。
その後、高揚が収まらない俺に彼女がその……、手を尽くしてくれて。
諸々含めてすごく善かったけど、彼女に可愛がられた時にちょっと我を忘れてしまう瞬間がいくつかあった。
後始末を終えてから簡単に着替えて、2人して眠りに就いたのは覚えてる。

(せめて、寝る前に言ってくれれば……!!いや、気づいてなかったのか?)

俺が起きた時にキャミソールを着た彼女がころりと寝返りを打って、それが朝の光に照らし出されて気づいたのがついさっき。
白い肩口の背中側に、ちょっと血の滲む痛々しい傷痕。
それをつけたのが俺だっていう事実が、ものすごく後ろめたい。
普段からやや深爪気味くらいに短く整えていたのに、それでも食い込んで痕になるって……彼女、きっと相当痛かったんじゃないか?

青ざめて俯く俺に全く気づく事もなく、規則正しく心地よさそうな寝息を奏でてる彼女。

(申し訳ない……)

女性の肌になんて事をしでかしてしまったんだろう。
慙愧の念に堪えない。

手を伸ばして、背に流れる彼女の髪を撫でた。
サラサラの手触りが心地いい。
彼女は髪も肌も、きちんと手入れしてる。
そんな彼女に対して、本当にひどい事をしてしまった。

「んん……?おはよ、チアキ」

やや、寝ぼけたような舌っ足らずの声が俺を呼んだ。

「おはよう……いや、その、ごめん!!」

「んぇ、、、なに?なんか、あったの?」

挨拶もそこそこに、バッと頭を下げた俺に、彼女はきょとんとする。
眼をこすりこすり、あくび混じりに身体を起こして俺に向き合ってくれたが、頭上には疑問符が浮かんでるのが見えるようだ。
そりゃそうだろう。
起き抜けに主語もなく謝罪されたら、誰だってわけがわからない。

「俺、君にその、昨夜……ひどい事をした」

「うん……?どっちかっていうと私じゃない、それ」

「そうじゃなくて、そういうアレじゃなくて!」

ぽやんとした口調ながら、あけすけな内容を述べた彼女に俺は赤面した。

(確かに、散々焦らされたし言葉でいたぶられたし何度も何度もイかされたけど!!)

「ごめん、された覚えがないや」

「君の肩に、しがみついたろ?たぶん、その時に引っ掻いてたみたいだ。ごめん!!」

「あー、そういえば。うん、言われてみればちょっと痒い?かも」

「……って、そんな反応?」

肩に手をやって、傷を確かめた彼女の反応は薄い。

「あとで鏡で見てみるよ。別に痛くなかったし、まあ大した事じゃないって」

「でも俺、女性の君にこんな、」

「故意にじゃないし、気持ちよかったから力入っちゃったんでしょ?しょうがないよ」

ぽんぽん、と俺の肩を優しく叩いた彼女は、そのまま薄着の胸に俺を抱きしめた。

「き、君、服まだ着てないだろっ」

「キャミソール着てますー」

「屁理屈言わないでくれっ!」

慌てる俺と、もはや大物感すら出てる彼女の落ち着きの対比が、何だかひどい。
もう、本当に色々と居たたまれない。
身の置き所がない心地なのに、頬を埋めた柔らかい感触にちょっとうっとりしてるし、反応しかけてる。
男ってのはこれだからどうしようもない……。

「こんなの、勲章みたいなものだもん」

だから気にしないで?
と額にキスされて、キャパオーバーな俺は漢前すぎる彼女の胸に熱くなった顔を埋めた。